2026-09-22
中小企業のAI導入率20.4%|作業と判断、どちらを機械に渡すか
今年の3月、中小企業基盤整備機構が調査の結果を出しました。 中小企業がAIをどう使っているかを調べたものです。 全国の中小企業10,000社に配り、1,647社から回答がありました。
AIを導入している会社は20.4%でした。 検討している会社が18.6%。 合わせて39.0%です。 導入している会社では、82.6%が生成AIを使っています。
5社に1社。 多いと見るか少ないと見るかは、分かれるところだと思います。
同じ調査に、もう1つの数字があります。 こちらのほうが、現場の実感に近いかもしれません。
「成功事例や活用事例などの情報が十分に入手できている」 この問いに、当てはまらないと答えた会社が83.3%ありました。 「適切なベンダーや製品を選定する情報」が足りないと答えた会社も79.8%です。
国に求める支援を聞いた項目でも、同じ形が出ています。 1位は導入費用の助成で77.9%。 2位が導入事例などの情報提供で70.5%でした。 お金の次に求められているのが、事例です。
止まっている理由は、技術ではないということだと思います。 値段でもありません。 うちの会社の、どの仕事を機械に渡せるのか。 そこが見えないまま、道具の名前だけが増えていきます。
私の会社も、同じところで止まっていました。
毎週、ブログを1本出しています。 原稿は自分で書きます。 それを業者に送って、写真を入れてもらい、形を整えてもらい、公開してもらう。 1回5,500円です。 月4回で22,000円になります。 ホームページの管理で、別に月17,000円。 ほかのものも足すと、月に10万円近くになっていました。
この仕事をよく見ると、2つに分かれていました。
写真を入れる。 決まった位置に見出しを置く。 公開のボタンを押す。 ここは手順が決まっています。 誰がやっても、同じ結果になります。
もう1つは、今月どのテーマで書くかです。 こちらには手順がありません。
前のほうを機械に渡しました。 原稿を送れば、そのまま公開まで進む形にしました。 月22,000円が消えました。 ほかも同じように整理して、今はAIを動かす費用の月3万円だけです。
ただ、残したものがあります。 方向性を見てもらうコンサルタントです。 金額でいえば、削れば効果の大きいところでした。
理由は1つです。 AIに任せて違う方向へ進んだとき、最初は気づきません。 文章はきれいに出てきます。 形も整っています。 おかしいと分かるのは、しばらく経ってからです。 そのときには、何か月分かが同じ方向に積み上がっています。
ここが線だと思っています。 作業は機械に渡せます。 判断は渡せません。
分け方は、難しくありません。 間違えたとき、その場で間違いだと分かるもの。 これは作業です。 やり直せば済みます。
間違えても、その場では分からないもの。 これが判断です。 ここを渡すと、気づくのが遅れます。
さきほどの調査に、導入の目的を聞いた項目があります。 1位は「業務効率化/作業時間の短縮」で87.0%でした。 2位の「品質向上」が32.3%ですから、50ポイント以上の差がついています。
多くの会社は、時間を削るために入れています。 そして、削れるのは作業のほうです。 判断を削ると、あとで高くつきます。
事例が足りない、と83.3%が答えていました。 外から届くのを待つものだと、私も思っていました。
でも、自分の仕事を書き出してみて、順番が逆だと分かりました。 事例は、自分の会社の中にありました。 写真を入れる。位置を決める。公開する。 この3つは、書き出すまで1つの仕事に見えていました。
今週やった仕事を紙に書き出してみる。 作業と判断に分ける。 それだけなら、AIがなくても今日できます。
その紙ができたとき、うちの何を機械に渡すかが、はじめて具体的な話になります。 渡すものが決まらないまま道具を探すと、どれを見ても決められません。
調査では、導入も検討もしていない会社が61.0%ありました。 その多くは、道具を選べずにいるのではないと思います。 渡すものが、まだ紙の上に並んでいないだけです。