2026-09-25

小規模企業の人手不足49.1%|足りているはずの会社で、深刻度だけが高い理由

9月15日、日本商工会議所と東京商工会議所が調査の結果を出しました。 全国2,654社の回答です。 7月から8月にかけて聞いています。

人手が足りないと答えた会社は60.0%でした。 そのうち48.2%が、事業の運営に影響や支障が出ていると答えています。

ここまでは、たぶん想像どおりの数字だと思います。

気になるのは、会社の大きさで分けたところです。

従業員が21人以上の会社では、およそ7割が人手不足と答えました。 20人以下の会社では49.1%です。 半分を切っています。 数字のうえでは、小さい会社のほうが足りている、という形になります。

ところが、その次の行で逆になります。 足りないと答えた会社のうち、深刻だと答えた割合です。 20人以下では54.9%でした。 全体の48.2%より高い数字です。

さらに、8.2%が廃業や事業の継続を心配していると答えています。

足りないと感じている会社は少ない。 でも、感じたときの重さは大きい。 この2つが同じ調査に並んでいます。

人数が少ない会社では、1人が複数の役を持っています。 請求書を作る人が、電話も取ります。 現場に出ている人が、シフトも組みます。 社長がそのどれもやっている会社もあります。

その状態は、普段は速いです。 確認を待つ相手がいません。 会議もいりません。 決めた人が、そのまま手を動かします。

ただ、その仕事の手順は、その人の頭の中にあります。 紙にはありません。 共有フォルダにもありません。

だから、1人抜けたときに起きることが、会社の大きさで変わります。

30人の会社で1人辞めると、29人になります。 仕事は増えます。 それでも、同じ仕事を見たことがある人が、たいてい残っています。

8人の会社で1人辞めると、7人になります。 このとき、その1人しか触っていなかった仕事が、一緒に消えます。 金曜の午前に振込をしていた人。 取引先の電話に出て、担当者の名前と機嫌を覚えていた人。 去年、機械の設定を変えた人。

人数は1人減っただけです。 止まる仕事は、1人分では済みません。

49.1%と54.9%の差は、ここから来ていると読んでいます。 足りていないのではありません。 1人あたりにぶら下がっている仕事の本数が、多いということです。

この状態に手を打つ方向は、3つあります。 募集をかける。 辞めないようにする。 その人でなくてもできる形にする。

多くの場合、上から順に手をつけます。 求人を出して、待ちます。 来なければ条件を上げます。 入ってくれた人には、長く続けてほしいと伝えます。

ただ、上の2つには共通点があります。 どちらも、決めるのは相手です。 来るかどうかは相手が決めます。 残るかどうかも相手が決めます。

3つめだけが違います。 その人でなくてもできる形にするのは、会社の中だけで決められます。

そして、順番を変えると効き方も変わります。 1人抜けても止まらない会社は、人が辞めにくい会社でもあります。 引き継ぎの心配なしに休みが取れるからです。 新しく入った人に見せられる物があるからです。

いちばん小さい始め方は、仕事を1つ選んで、手順を書き出すことです。 毎月かならず発生して、いまは1人しかやっていないもの。 請求書の作成。 給与計算の前の集計。 発注。 どれか1つでかまいません。

書き出すと、たいてい途中で止まります。 「ここは、その時の状況で変える」という部分が出てくるからです。

止まった場所が、まだ渡せていない部分です。 そこから先は残ります。 それでも、手前までは今日から渡せます。

この調査の8.2%は、廃業や事業の継続を心配している会社の割合です。 20人以下の会社の中の数字です。 1人が抜けることと、会社が終わることが、地続きになっている会社がある、という意味だと受け取っています。

その地続きを切るのは、採用ではないと思っています。 いま社内にある仕事のうち、何件が1人にぶら下がっているか。 そこを数えるところからです。