2026-09-26
都内中小企業の業況DIが-22|社長が外に出ている間、社内が止まらない形
9月24日、東京都が都内の中小企業の景況を調べた結果を出しました。 毎月出しているもので、今回の対象は8月です。
業況が「良い」と答えた会社の割合から、「悪い」と答えた会社の割合を引いた数字が載っています。 8月は-22でした。 前の月は-18です。 4つ下がりました。
業種ごとに見ると、下がり方に差があります。 小売業が-37。 前の月の-33から、さらに4つ下がりました。 卸売業は-11から-18へ。 サービス業は-11から-17へ。 製造業だけが-17で横ばいでした。
売上の数字も出ています。 去年の同じ月と比べた売上高の数字は-21。 前の月は-17でした。
もう1つ、目を引く数字があります。 先行きを聞いた数字です。 -16で、前の月と同じでした。 いまは下がった。 ただ、この先しばらくは変わらないと見ている。 そう読める並びになっています。
この数字を見たとき、社長のやることは1つに寄っていきます。 外に出ることです。
取引先に顔を出す。 新しい先を探す。 値段の相談をする。 請求書の金額を1行でも上げる話をする。
数字を戻す仕事は、たいてい社内にはありません。 社内にあるのは、いまの数字を守る仕事です。
それなのに、外に出ようとすると決まってつかまります。
「社長、ちょっといいですか」 「今、お時間よろしいですか」
有給を取りたいという相談。 この領収書は経費で出せるのかという確認。 出退勤の打ち間違いの直し。 取引先から来た1本の電話の、折り返しの判断。
どれも1件なら1分か2分です。 だから、数えたことがありませんでした。
私が長いあいだ見落としていたのは、時間ではありません。 つかまるたびに、判断が1つ自分に移っていることでした。
10人に届かない会社では、これがほぼ全部社長に集まります。 経理が1人いても、その人は経理だけをやっているわけではありません。 電話も取ります。 請求書も出します。 出荷も見ます。 だから、少しでも迷う判断は上に上がってきます。
上がってきた判断は、社長がいないと止まります。 社長が外に出ている時間だけ、社内が止まる形になっています。 数字を戻すために外に出るほど、社内が止まる。 この形のまま、景気の数字を読んでも打つ手が出てきません。
そこで、順番を1つ入れ替えました。 判断そのものを減らすのではありません。 自分を通る判断の経路を1本ずつ外していきました。
有給の相談は、日数と就業規則を照らせば答えが出ます。 領収書の確認も、日付と宛名と但し書きを見れば、たいていの分は決まります。 出退勤の直しも、元の打刻が残っていれば、直し方は1通りです。
こういうものは、社長が判断しているのではありません。 決まりを読み上げているだけです。 読み上げるところは、画面でできます。
もう1つ、これには先に書いておきたいことがあります。 感情のほうです。
人から「そんなに続けて休まないでほしい」と言われると、嫌な気持ちが残ります。 残るのは言われた側だけではありません。 言った側にも残ります。
同じ内容が画面に出てくると、受け取り方が変わります。 「決まりではこうなっています」 そう出ていれば、しょうがないな、で終わります。 人から言われないので、感情が生まれにくくなります。
人が入ると、そこにトラブルが生まれます。 だから、トラブルが生まれる場所からは、人を外したほうがいい。 うちはそう考えて組み直しました。
社長の手元に残すのは、決まりでは答えが出ないものだけです。 この取引先の値段をどうするか。 この人を採るか。 この設備をいま入れるか。
業況DIが-22という数字は、社長が変えられるものではありません。 変えられるのは、自分が外に出ている3時間のあいだ、社内が止まるか動くかのほうです。
止まらない形にしてから外に出ると、同じ3時間の中身が変わります。 折り返しの電話を気にしながら歩く3時間と、そうでない3時間は、別のものです。
出退勤、有給申請、領収書の申請あたりが、ふだん使っているLINEの中で終わる形にする。 私たちはいま、その形を作る仕事をしています。
出典:東京都産業労働局「東京都中小企業の景況 令和8年9月調査」(2026年9月24日公表)