2026-09-23
上半期の倒産5,335件|人を増やす前に、ゼロになっても倒れない形を作る
帝国データバンクが7月21日に、今年の上半期の倒産件数を出しました。 5,335件です。 前年の同じ時期が5,003件でしたから、6.6%増えています。
その内訳に、2つの数字があります。 人手不足倒産が227件。 物価高倒産が556件。 どちらも過去最多です。
並べてみると、物価高のほうが2倍以上あります。 ただ、現場で先に口に出るのは、たいてい人の話だと思います。 募集をかけても来ない。 辞めた分が埋まらない。 残った人に寄せて、なんとか回している。
その実感は間違っていません。 ただ、倒産という結果まで見ると、少し違う形が見えてきます。
人が採れずに仕事が回らなくなるのも、採れた人の給料が払えなくなるのも、最後は同じ欄に並びます。 採用は1回の出来事です。 給料は毎月の出来事です。 1人増えると、来月から毎月、金額が確定した支払いが1本増えます。
そして仕入れも燃料も上がっています。 物価高倒産556件は、そちら側の数字です。 毎月出ていく金額が、両側から増えていることになります。
ここから先は、数字ではなく考え方の話になります。
社員を1人も雇わず、オフィスも借りずに事業をやっている人がいます。 その人の言い方を借りると、理由はこうなります。
何がどうなるか分からないから、ゼロになっても大丈夫な状況を先に作っておく。
売上が増えることは狙っています。 ただ、売上と一緒に固定費を増やすことはしません。 社員を増やす。 かっこいいオフィスを構える。 どちらも、伸びているときには自然な選び方です。 そして、どちらも来月から毎月の支払いになります。
伸びているうちは、その支払いは問題になりません。 問題になるのは、止まったときです。 売上はその月に止まります。 固定費は止まりません。
上半期の5,335件のうち、何件がその形だったかは、この数字からは分かりません。 分かるのは、過去最多が2つ同時に出ているということだけです。
では、増やさずにどうやって回すか。 同じ人の口から出てくるのは、金のかかる場所を自分で持たない、という発想です。
在庫を自分で抱えない。 持てる人に持ってもらって、その分のリターンを渡す。 100万円を負担してくれるなら、そのぶんの取り分を渡す。 自分は仕組みの側に立つ。
支払いの順番も同じ考え方です。 仕入れ先への支払いが後で、客先からの入金が先なら、その間だけ手元に金が残ります。 順番が逆なら、売れているのに金がない状態になります。 帳簿の上では黒字です。 それでも払えなくなることがあります。
この順番を決めているのは、信用です。 長く続けている。 約束した日に払っている。 それだけで、後払いを受け入れてもらえるようになります。 信用がなければ、前払いを求められます。 同じ商売をしていても、必要な資金がまるで変わります。
そして、利益が出たときの使い道です。 車でも、家でもなく、次に稼げる場所に入れる。 10年続いている会社でも、稼いだ分のうち次に回している割合は、思っているより小さいことが多いようです。 手元に残すか、次の場所に置くか。 その置き場所を持っているかどうかで、翌年の形が変わります。
ここまでの話は、人を増やすなという話ではありません。 人が要る仕事は、人が要ります。 建設も、運送も、介護も、現場に立つ人の数がそのまま売上になります。
そうではなく、順番の話です。
人を1人増やすかどうかを決める前に、その1人が来月から毎月いくらになるかを出す。 いまの粗利のどこからその金額を払うかを決める。 そして、売上が一時的に止まった期間も払い続けられるかを見る。
この3つが出ていれば、増やす判断は1回で終わります。 出ていなければ、採用のたびに同じ不安を最初から通ることになります。
過去最多が2つ同時に出た年に、できることがあるとすれば、増やす前の1歩だと思います。 いま毎月出ていっている固定費を全部1枚に並べてみる。 使っていないのに払い続けているものが、たいてい何本か混ざっています。 そこを減らしたぶんは、人に回せる幅になります。
私たちがうかがう会社でも、最初に見るのは、この毎月の支払いの一覧です。